がん遺伝子検査とは~発症前診断の重要性

グランプロクリニック銀座の「がん遺伝子検査」では、最先端の技術を導入し、存在しているかもしれないがんの可能性や、将来的にがんになる可能性を調べることができます。
たとえば、「がんリスク検査」や「CTC検査」。それらの検査によって、患者一人ひとりが自分の「がん」遺伝子情報を把握することで、がんの発見や治療、再発予防につなげられるのです。
がん細胞による遺伝子変化が「がん」のはじまり
私たちの体の中では毎日多くの細胞が死に、それを補うように新たに多くの細胞がつくられています。その細胞の遺伝子が変化することではじめる「がん」。その主な原因は、生活習慣や加齢などによるものです。それらは細胞の中の遺伝子を変化させます。その後、その変化が積み重なって発症に至るのです。
がん遺伝子
がんは、がん化した細胞の増殖が進行して発症する病気。
「がん遺伝子」と呼ばれる遺伝子の働きにより、細胞の増殖が起こります。
それと、細胞の増殖や分裂を管理する機能をもつ遺伝子「がん抑制遺伝子」。
その遺伝子が機能を失うと、細胞の増殖を止めることができなくなります。
その影響で、がん遺伝子が活性化され終わりのない細胞の増殖がスタート。
そこには1~2mm程度の腫瘍ができます。
また同時に、その腫瘍に栄養補給も始まり、徐々に腫瘍も成長していくのです。
このような遺伝子の変化が繰り返されることで、がんは発症するとされています。
そして、たった1つのがん細胞でも、膨大な数になってしまう可能性もあるのです。
増殖を続けたがん細胞には、元々いた場所である原発巣から離れ、違う場所でも増え続ける性質もあります。
腫瘍から離れて血液中を移動し、別の臓器へ転移するのです。
発症する前のがんを見つける「がん遺伝子検査」
がん遺伝子検査とは、正常な細胞を「がん」へと変化させる遺伝子を調べ、分子レベルの微小ながん細胞の存在リスクを予測し、がんの超早期発見を可能にする検査です。
また、目には見えないがんのリスクを顕在化することで、がんの予防や再発防止のための新たな指標を得ることができます。
たとえば、腫瘍マーカーやMRI、CTなどの検査では、がん細胞の大きさやがんの進行状態によって発見が難しい。
これらの検査は「早期発見」とはいえ、がんが発症した後の結果を見ることになります。
つまり、がん遺伝子検査は、「未病段階」のがんを発見・予測することを可能にしたのです。
そもそも、遺伝子検査とは、体を構成する設計図ともいわれるゲノム(DNA)の配列を調べる検査です。
私たちがそれぞれもっている遺伝子の配列を調べ、病気に関する診断や血縁関係の確認などに活用されています。
遺伝子の配列に異常が発生すると、たんぱく質の合成量や機能に影響を与え、病気になります。
遺伝子検査は、特に研究が盛んながんの領域で、遺伝子異常を予め網羅的に調べ、がんの発症リスクの予測や、効果が得られる治療方法の選択において、大きな役割を担っています。身体的にも、経済的にも負担の少ないがん治療のツールとして期待されている検査なのです。
その種類は主に2つあります。一つは、細胞でのみ起こる遺伝子の変異を調べる検査。
遺伝子変異とは、たとえば、細胞ががん化する過程で生じた遺伝子の変化です。
もう一つは、生まれつき備わっている遺伝子の配列を調べる検査になります。親から受け継いだ遺伝子は生涯変わることはありません。
そんな個人一人ひとり独自にもつ遺伝子が、どういう性質なのかを調べ、そこから特定のがんの発症リスクを予測することができるのも、がん遺伝子検査の特長なのです。
がん遺伝子検査の目的
早期発見・早期治療
画像診断や内視鏡検査などでは確認できない微小ながん細胞(5mm以下)の場合でも、がん細胞から血液中に遊離するDNAやRNAなどを解析。
分子や細胞レベルのがん細胞を検出し、発症リスクを評価が可能。これによって、前がん状態での早期発見や早期治療を目指すことができる。
予防管理
微笑ながん細胞の存在リスクや、遺伝子変異による発がんリスクの評価を継続的に行うことで、個人一人ひとりの体質や生活習慣に最適な予防管理を実現。がん予防の効果確認やがんの発症抑制に役立つ。
再発防止
治療後のがんの状態確認や、がんの再発リスクを確認。定期的な遺伝子検査によって、がん遺伝子のメチル化や突然変異、RNA発現の状態を継続的に検査し、がんの進行状況や改善効果、再発リスクを評価。再発防止に有効な情報が得られる。
安全性
検査に必要なのは約20cc程度の採血のみ。他の画像診断のような放射線や強力な電磁波などによる人体への悪影響はほぼない。
明らかになってきた「がん遺伝子」
私たちのすべて細胞は、生まれながらにもっている遺伝子の配列によって決まります。
この情報は特定のがんの発症リスクを判定することが可能。
また、その配列は、親から子に50%の確率で遺伝するため、血縁内で共有されている可能性が高いのです。
だからこそ、がん遺伝子検査は、効率的にがんを早期発見するための指標だけでなく、予防的な治療、効果的な治療を可能にすると考えられています。
ここでは、がん遺伝子の歴史を紹介します。
その歴史のはじまりは1980年代。人のがん細胞から様々な遺伝子変異が発見されました。
それにより、がんは遺伝子の病気であると明確になったのです。
また、遺伝子変異の蓄積によるがんとは別に、親から子へ伝わる遺伝性のがんについて、その存在も知られるようになりました。
1990年代末以降には、がん細胞を増殖させている分子を攻撃する「分子標的薬」が登場。
たとえば、HER2や、皮膚や大腸にがんをつくるBRAFなどです。
原因となる遺伝子に応じた治療薬が開発によって、従来の抗がん剤では効果のない患者の生存率は向上しました。
さらに、2000年代においては、人の遺伝情報であるゲノム(DNA)が解読され、遺伝子情報を高速で解読する装置「次世代シーケンサー」が開発。
そして、2015年より「がん遺伝子検査」の提供が開始されました。
100種類以上の遺伝子をまとめて調べ、遺伝子レベルの変異を発見する「遺伝子パネル検査」と呼ばれています。
そして、2018年。
厚生労働省はプレシジョン・メディシン(個別化医療)の実現に向け、遺伝子パネル検査の2019年度の保険適用を目指す方針を提示※1。
高度な医療を提供するがんゲノム医療※2中核病院や、がんゲノム医療連携病院の指定、さらに情報を集約する「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」の立ち上げなど体制整備を進めてきました。
今後、遺伝子パネルをより実用化することで、個別化医療の実現や、さらにその先にある革新的な新薬の開発に向かっています。
がんを発症する可能性を知る「ミアテスト乳がんリスク検査」
がんに関連する遺伝子を調べる検査には、臓器や目的別に様々な検査があります。
その一つは、がんを発症しているのか不安な向けの「がんリスク検査」。
この検査はがん治療に役立つというよりも、がんの発症リスクを測定する検査です。
胃がんをはじめ、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、子宮がんなどが対象です。たとえば、「ミアテスト乳がんリスク検査」。
この検査では血液中に存在しているマイクロRNAという物質を測定します。
マイクロRNAは遺伝子の発現調節の機能を有すると考えられており、がん細胞からも特定の種類のものが増減することが明らかになっています。
本検査では乳がん患者に特異的な数種類のマイクロRNAを測定することで、リスクを知るだけでなく、早期発見の一歩先を行く「超早期発見」の実現にもつながり、完治の確率を高めます。また、疾患のリスクが高い場合でも、免疫増強や食事改善などにより、予防対策をすることが可能です。
がんリスク検査において、リスク値が高い場合には精密検査を行い、それによって、がんが発見されることもあります。
がんのリスク検査のプロセス
※がんのリスクを測定する検査であり、がんが存在するという証明ではありません。
消化器系がんの遺伝子検査「マイクロアレイ(消化器系がん遺伝子)検査」
また、体内に生じたがんに対する反応を遺伝子レベルから調べることができる最新技術「マイクロアレイ」。
その技術を活用して開発された「マイクロアレイ(消化器系がん遺伝子)検査」は、世界で初めて、血液中に存在するがん細胞の反応を遺伝子レベルからの測定を可能にしました。
消化器がんの遺伝子検査で、がんのような異物に対する体の反応を遺伝子レベルで測定できる最新の技術です。 末梢血液細胞中の2,664遺伝子の発現状況を測定・解析することで、感度98.5%、特異度92.9%で消化器がんの有無と疾患部位の判定を行うことが可能です。
マイクロアレイ(消化器系がん遺伝子)検査のプロセス
微小ながん細胞を超早期で発見できる「CTC検査」
さらに、「循環腫瘍細胞(CTC)検査」という検査もあります。
画像検査では確認できない微小がんの超早期発見が可能。従来のがん検査に比べて圧倒的に早く、簡単な方法で検査することができます。これにより、正確な病態情報を得られると期待されているのです。
CTC検査にはいくつかの種類があります。血液中を循環するがん細胞やDNAなどを測定し、がんの原因となっている遺伝子を解明する「がん原因遺伝子検査」や、どの抗がん剤がどの程度効果があるのかを計測する「抗がん剤適性試験」、さらに、サプリメントがどれだけ効果があるのかを調べる「サプリメント適性試験」などです。
たとえば、その中で注目されている検査に、「オンコトレース」や「オンコノミクスプラス」、「オンコカウント」などがあります。
オンコトレース
循環腫瘍細胞の有無と濃度などを調べます。
また、手術によって切除したがん細胞の転移・再発の原因となる幹細胞の有無と濃度も確認。
最初からオンコノミクスプラス検査ではハードルが高いという方の入り口として利用されている検査です。
オンコノミクスプラス
個別化治療に最適で、自分にとってどの治療が最適なのかを検証できます。
オンコカウント
治療後の循環がん細胞の血算・施術のフォロー。
循環腫瘍細胞の存在の有無と、その濃度についてのみ情報から、再発を早期に検出し、治療の効果が出ているかを検査します。
がんと闘うためには、がんの原因や特性を理解してがんに最も有効な治療を行うことが必要です。
がん遺伝子検査では、がんの原因遺伝子を解析し、その原因遺伝子へ直接治療することや、抗がん剤の適性試験によって、有効な抗がん剤治療などを選択することもできます。
それぞれのがんを狙い撃ちする「分子標的治療」
近年の研究において、がんは様々な遺伝子の異常が蓄積されることで発症する、いわば、遺伝子の病気であるといわれています。
また、発症する臓器が同様であっても、遺伝子異常は個々の患者によって異なり、遺伝子異常の中には、がん細胞が存在するために必要な特定の遺伝子が存在します。
その特定の遺伝子異常を標的とするのが「分子標的治療」。
分子標的治療とは、がん細胞の増殖を引き起こす、細胞内の特定の遺伝子を狙って攻撃する分子標的薬を使用し、がんを抑える新しい治療です。
がん遺伝子検査にはいくつものメリットがある
がん遺伝子検査には、予防医療や患者ごとに最適ながん治療に役立つ情報を手に入れられる可能性があります。さらに、一度に複数の遺伝子変化を調べることも可能なのです。
がん遺伝子検査のメリット
- がんを発症するリスクを超早期で発見できる。
- がんになりかかっている病変を検出できる。
- 採血のみの検査のため、放射線などの副作用がない。
- 遺伝子変化に対して効果が期待できる治療の情報が得られる。
- 原発不明がんの場合であっても、がんの発生臓器が判明すれば、効果が期待できる治療の情報が得られる可能性がある。
- 効果が期待できない治療、不必要な副作用を回避できる。
- MRIやCT検査などの画像検査では発見が困難な、5mm以下の微小がんを発見可能。
つまり、遺伝子レベルから検査することで、病気に対する自分の体質や、将来発症する病気の可能性やその予防管理、さらに、自分に最適な治療法がわかるのです。
がん遺伝子検査から自分の未来を考える
私たちの遺伝子は、一生変わることがありません。
だからこそ、一度検査を受けることで遺伝的によるリスクを調べ、生活習慣を見つめ直すことで、早い段階での予防を実現できます。
もし、遺伝子検査の結果、発症リスクが高いからといって、必ず発症するというわけではありません。
一方で、発症リスクが低かったとしても、生活習慣や加齢などによって将来発症する可能性が高くなることもあります。
現在は、がんの早期発見や早期治療が可能な時代。
大切なのは、自分がどんな病気になる可能性があるのかを知り、毎日の生活習慣を改めること。
また、病気が発症しても、その病気に対する最適な治療法を理解し、治癒に向けて行動することです。
日本人の死因第1位である「がん」。
2人に1人が発病し、3人に1人が亡くなっています。
がん遺伝子検査は、自分の健康状態と向き合い、未来の自分を考える、一つのきっかけになることでしょう。
※1)厚生労働省:第1回がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議 (資料1)がんゲノム医療推進に向けた取組
※2)ゲノム医療:
ゲノム(Genome)とは、遺伝子(gene)と、「全体、かたまり」を表す接尾語(-ome)を合わせた造語。遺伝子情報全体のこと。患者の遺伝子情報全体を網羅的に調べ、その結果から、より効率的な病気の診断や治療などを行うのが、ゲノム医療である。
ブログ記述者

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理事長 松山 淳
杏林大学医学部医学科卒業。慶應義塾大学医学部助手・医学部附属厚生女子学院(現:慶應義塾大学看護医療学部)講師、国立病院臨床研究部病理室長などを経て、米国抗老化医学研究所・クリニックにて研修。現在、日本人初の抗加齢スペシャリストとして、米国アテナクリニックインターナショナル抗老化部門部長、及び日本の複数の抗老化医療研究所、クリニックの顧問医を務める。
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