幹細胞治療にリスクはあるのか?

幹細胞治療を受けてみたいが、リスクや安全性に対して不安が残るという方は、ぜひ参考にしてみてください。
様々な部位や症状に効果的だということから着目される機会が増えた「再生医療」。その中でも特に、美容面で取り入れられている「幹細胞治療」は、取り扱うクリニックの数が増えてきています。
幹細胞治療とは、一般的に自分の幹細胞を活用して治療を進めていくのですが、副作用などのリスクはないのでしょうか?
今回は幹細胞治療の安全性トリスクについてご紹介します。幹細胞治療を受けてみたいが、リスクに対して不安が残るという方は、ぜひ参考にしてみてください。
失った機能を取り戻す幹細胞治療
リスクを説明する前に、幹細胞治療の仕組みをご紹介していきます。
幹細胞治療とは、人間が本来に備わっている自己治癒力にも関連する「幹細胞」を用いた治療法です。
たとえば、トカゲは尻尾が切れてしまっても、また生えてきます。
正確には完全に元通りになるわけではないのですが、尻尾の皮膚などは前と同じような形状に戻っていきます。
人間にもそれに似た、「元に戻っていく」という力が備わっているのです。
人間の場合、肝臓を構成する細胞(肝細胞)はとても強い再生能力をもっているといわれています。
これは哺乳類全般にいえることで、ラットの肝臓を2/3切り取られても1週間経過すると、大きさは切り取る前に戻っていたという研究結果も。肝細胞はあくまでも肝臓を構成する細胞のため他の組織に存在しません。
ただ、それぞれの組織にも再生・複製機能をもつ細胞はあります。それが、幹細胞です。
細胞には大きく分けて体細胞と幹細胞があります。
体細胞とは、単純に血液に含まれる細胞や脂肪、筋肉に含まれる細胞などを指します。一方、幹細胞はそういった細胞とは異なり、特定の体細胞への変化や、自分自身をコピーすることができる細胞です。
たとえば、ケガをしてしまった時には幹細胞が皮膚の細胞へと変化し、傷口を修復していきます。このように、私たち人間も再生能力をもっており、それを支えているのが幹細胞なのです。
幹細胞を活用した治療法にはいくつかの種類があります。
その一つが、自分の幹細胞を培養して使う幹細胞治療です。自分の脂肪や骨髄から採取した幹細胞を培養し、数を増やしてから再び体内に戻します。すると、その組織に注入した幹細胞が増殖・分化し、新たな組織をつくることが可能です。
それによって、失われた機能まで取り戻すことができるといわれており、将来的には医療技術もより発展することで、さらに多くの病気を治癒させることができるのではないかと注目されています。
その他にも、美容クリニックなどでは、幹細胞を培養することでつくられる培養上清液を使った「幹細胞培養上清液療法」を提供しています。その療法については、後ほどご説明します。
幹細胞治療にリスクはあるのか?
幹細胞や幹細胞治療について解説してきましたが、ここからは本題である幹細胞治療のリスクをご紹介していきましょう。
幹細胞治療に限ったことではないのですが、高い効果を得られる治療になるとどうしてもリスクがあるとされています。そのため、幹細胞を使った治療にも少なからずリスクがあることを念頭に入れておくようにしましょう。
では、どのようなリスクがあるのでしょうか?
まず幹細胞による治療のリスクは、使用する幹細胞によっても異なります。
たとえば、ES細胞(胚性幹細胞)は、治療を施すことでその部位が腫瘍化したり、ガン化したりする恐れがあります。

どちらも未だに実験段階であるため、今後このようなリスクが低下し、安全に使用できるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうです。
一方、体性幹細胞は、もともと体内に存在する幹細胞のため、ES細胞やiPS細胞と違って腫瘍化・ガン化のリスクはほぼありません。そのため現在、医療現場で用いられているのは体性幹細胞なのです。
美容クリニックで行われている幹細胞による治療
では、医療機関ではなく、美容クリニックで行われている幹細胞による治療には、どういったものがあるのでしょうか?
ちなみに、序盤で紹介した自分の幹細胞を培養し、再び体内へ戻すという幹細胞治療は、美容クリニックでも提供することは可能ですが、それには国の許可が必要です。
幹細胞を用いた再生医療は、先進的かつ高度な医療。この治療を提供するためには、厚生労働省による総合的な審査を受ける必要があります。そこで条件を満たすことで得られる計画番号の取得が可能です。
とはいえ、そのようなクリニックはまだまだ少ないのですが、きちんと認可を取得したクリニックでの治療を受けるようにしましょう。
そもそも、美容クリニックで幹細胞による治療が用いられているのは、「いつまでも若々しい自分でいたい」という願いを叶えるため。
皮膚を構成する皮膚組織の幹細胞は分化することよって、肌が新しく生まれ変わり、肌トラブルの少ない健康的な肌に再生することができます。
美容クリニックで導入されている治療では、幹細胞を培養した際につくられる上澄み液「培養上清液」を使っています。つまり、幹細胞を直接体内に注入するのではなく、幹細胞培養上清液を注入するのです。
幹細胞培養上清液なら効果が低いのではないか?と心配される方もいらっしゃるでしょう。
たしかに、幹細胞培養上清液には幹細胞が含まれているわけではありませんが、幹細胞を培養した際に分泌されたサイトカインや栄養素などが豊富に含まれています。
これらの成分は、体内の細胞を活性化させ、若々しい肌や組織への生まれ変わりをアシストします。
幹細胞培養上清液を使った治療にリスクはあるのか?
幹細胞培養上清液とは具体的にどういったものかというと、幹細胞を増殖させる際につくられる上澄み液。
ここで不安になってくるのが、やはり副作用などのリスクではないのでしょうか?
結論から言うと、幹細胞培養上清液はリスクが少なく安全といえます。
安全性は向上し、臨床実験を重ねてようやく実用化されたことで、提供できるようになった幹細胞による治療。ただし、実用化されてからの期間が他の治療法に比べると短いため、副作用が絶対に起こらないと言い切ることは難しいかもしれません。
幹細胞培養上清液を利用した治療の流れ
幹細胞培養上清液による治療を導入しているクリニックが増えてきていますが、どのような流れで治療が進められているかご存知ですか?
当院の治療では、まずカウンセリングを行います。この時、リスクについてもきちんとご説明しますので、あらかじめ不安に思っていることや疑問点などはカウンセリングでお聞きください。
次に診察です。一人ひとりに合わせた治療法を提案し、方法や金額などに納得いただけた場合のみ治療に移ります。
治療時間は、導入も点滴も30~40分と同じくらいの時間になります。
ただ、最新機器による導入では、幹細胞培養上清液の浸透力を高めるため、まず全身の血行改善を行います。また、点滴の場合は、診察後に血圧を測定します。
幹細胞培養上清液を使った治療は、ダウンタイムがないため施術が終わったらすぐにお帰りいただけます。
このように、幹細胞による治療のリスクは絶対に起こらないというわけではないため、治療を行う際には必ず医師からリスクを聞くことが大切です。また、幹細胞培養上清液療法であれば、様々なリスクを最小限に抑えられます。
ブログ記述者

ブログ記述者
グランプロクリニック銀座理事長
岩本 麻奈
東京女子医科大学卒業。慶應病院や済生会中央病院などで臨床経験を積んだ後、1997年に渡仏。美容皮膚科学、自然医学、抗老化医学などを学ぶ。現在、パリの中心に居を構え、欧州大手製薬会社やコスメメーカーなどのコンサルタントを務める傍ら、様々なメディアを通して美容情報を発信中。著書は『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』など多数。
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