サイトカイン療法サイトカイン療法
     

エクソソームが美容業界を変える?!基本知識から治療への応用まで解説

エクソソームが美容業界を変える?!基本知識から治療への応用まで解説

エクソソームという名前を聞いたことはありますか?エクソソームは私たちの体の中にも存在し、細胞間の情報伝達に関与しています。

創傷治療など再生医療の分野でも注目されるエクソソームですが、最近ではとくに美容業界でもその存在に注目が高まっています。でも、エクソソームという存在自体を知らないという方がまだまだ多いはずです。

そこで今回は、エクソソームとはそもそも何か?どのように体内で働くのか?など基本的な知識から、最新のエクソソームの応用と実用例までご紹介します。

これを読んでいただければエクソソームと美容に関する基本に理解が深まるはずです。ぜひご参考にしてください。

エクソソームとは?

エクソソームとは細胞から分泌される小さな顆粒状の小胞です細胞から分泌される小胞のことを総じて「細胞外小胞」と呼びますが、エクソソームもその一種です。

エクソソームはかつては細胞内に溜まったゴミ(老廃物など)を排出するだけの袋のように捉えられてきました。

しかし2000年代に入ってから研究が進み、エクソソームは細胞と細胞のコミュニケーション、「細胞間同士の連絡役」として非常に重要な役目を持っていることが明らかになってきたのです。

大事な情報を守って伝える

エクソソームは小さな粒状のカプセルのような形で、その中に大切な情報を含んでいます。その情報とは何かというと、例えばマイクロRNAのような遺伝情報です。

マイクロRNAは非常に壊れやすく、そのまま細胞外に放出されるとすぐに分解されてしまいます。しかし、実際にはエクソソームが中に包み込んだ状態で、細胞の外へと袋のまま放出するので大切な情報は壊れずに他の細胞へと無事に伝達することができます。

遠い細胞にもピンポイントで情報を届ける

エクソソームは隣り合った細胞だけではなく、遠く離れた場所にある細胞にも確実に情報を届けることができます。エクソソームはその表面に鍵と鍵穴のような仕組みに対応するタンパク質を持っていて、狙った細胞を探し出して中に入り込むのです。

そして狙った細胞に到着すると、相手側の細胞膜に融合してエクソソームとして細胞内へと入り込んでいきます。この仕組みによって遠く離れた細胞同士のコミュニケーションを可能にしているのがエクソソームなのです。

また、エクソソームを外敵とみなして免疫が攻撃しないように、外敵とはみなされないような精巧な仕組みも持っています。エクソソームは非常に効果的に情報を伝達して、生理機能や機能的な変化を引き起こしていることが明らかになっているのです。

エクソソームと美容・美肌との関係

エクソソームは美容業界に革命をもたらす存在として注目が高まっています。

でも、細胞同士のコミュニケーションツールである「エクソソーム」と美容効果はどんな関係があるのでしょうか?研究のデータなどもご紹介しながら解説していきます。

コラーゲン生成とエクソソーム

ある研究報告によれば、真皮の幹細胞が自身の分泌するエクソソームを介して線維芽細胞へ指令を送り、コラーゲン産生を促進していることが明らかになりました。線維芽細胞とは、コラーゲンを生み出す能力を持つ細胞です。この研究では真皮の幹細胞が分泌したエクソソームを線維芽細胞が内側へ取り込み、コラーゲンの生成量を増やしたということです。

今後さらに作用のメカニズムが明らかになれば、エクソソームを利用して狙った場所のコラーゲン生成を増やし、ハリやたるみ治療などアンチエイジングに応用できるのではないかと期待できます。

皮膚の老化とエクソソーム

また別の研究では、皮膚の老化現象とエクソソーム、またエクソソーム中に含まれるマイクロRNAの関係についても報告があります。

この論文では皮膚老化においてもマイクロRNAやエクソソームの量・質など、またはエキソソームの質などが関係していると考えられています。

また、紫外線のような外部の刺激による皮膚老化にもエクソソームによる細胞伝達の仕組みが関わっているとも示唆されています。今後の研究の進展によっては、紫外線による老化現象に対する効果的なアプローチも可能になるかもしれません。

ヒト由来の幹細胞培養上清液でも注目されるエクソソーム

再生美容医療において欠かせない存在である「ヒト由来の幹細胞培養上清液」の中でも、エクソソームのブームが来ています。

エクソソームは幹細胞に多く含まれているため、ヒト由来の幹細胞培養上清液の効果にも非常に大きく関わっていることが分かってきました。

ヒト由来の幹細胞培養上清液というのは、ヒトの体に存在する細胞を培養した上澄み液です。どんな細胞にも分化・成長できる能力をもった幹細胞にアプローチすることができます。

倫理的な問題により他人の幹細胞を利用することは認められていないため、幹細胞の培養液(上澄み)だけを使った方法が美容再生医療での主流となっています。

例をあげると、ヒト由来の幹細胞培養上清液には次のような効果があります。

  • コラーゲンやエラスチンなどを増やして、肌を若々しく再生する
  • 傷やケガで失った細胞を再生させる(創傷治癒)
  • 細胞分裂を活性化させることにより、シワ改善・防止効果
  • メラニン生成を抑えることによる美白効果
  • 抗酸化効果による老化の抑制

このように、主に若返り治療などこれまでの技術では難しいとされてきた、「再生」「回復」といった夢のような効果を幹細胞培養上清液が可能にしました。

そして、この優れた効果においても、エクソソームが深く関わっていることが近年分かってきたのです。すでに使われているヒト由来の幹細胞培養上清液にもエクソソームが含まれていて、その効果に大きく寄与しているのです。

エクソソームがヒト由来の幹細胞培養上清液を変える?!

ヒト由来の幹細胞培養上清液について、今までの考え方では、主に成長因子やサイトカインが効果を説明する「本体」だと考えられていました。
例えば、成長因子やサイトカインがその周辺に拡散的に、例えるならシャワーのように作用すると考えられていたのです。

しかし、エクソソームの存在とメカニズムが明らかになり、エクソソームは幹細胞培養液の作用において重要なファクターであり、さらに効果を高めるキーマンとして期待されています。

最近では、ヒト由来の幹細胞培養上清液をパワーアップさせるため、エクソソームをより多く培養細胞から生産させる技術も登場しています。

実際に通常よりも高濃度のエクソソームを含む「エクソソーム製剤」も誕生して、美容医療もますます進化してきています。

エクソソーム製剤では従来よりも豊富なマイクロRNAを含有することが可能になり、皮膚の再生効果を高めてくれると期待できます。

コスメにもエクソソームのブームが到来?!

美容医療だけではなく、もっと身近なところでは化粧品にもエクソソームが利用され始めています。

エクソソームを配合した美容液も登場するなど、新しい化粧品原料としても利用価値が高いことが分かってきています。

エクソソームは細胞に対する親和性も高いため、内包する成分や薬剤を狙った場所に確実に届けることも得意としています。この仕組みを化粧品や医薬品に応用することで、さらにターゲットに対して効果的なアプローチが可能になると考えられています。

まだ日本ではエクソソーム配合コスメは多くはありませんが、美容先進国である韓国ではヒト幹細胞培養液+エクソソームを利用したコスメの開発が進んでいます。日本にもその潮流がやってくる日はそう遠くないかもしれません。

エクソソームの安全性とリスクは?

新しい画期的な治療法、美容技術となると、期待が高まる一方で、副作用などのリスクが気になる方も多いでしょう。エクソソームは果たして安全なのでしょうか?

エクソソームは生体分子であるという点では、全くの異物である合成製剤などと比べると安全性が高いと考えられています。

ただ、非自己由来の組織からとったエクソソームを使った場合に、免疫反応が起きる可能性はもちろんゼロではありません。ただ、細胞そのものを使うわけではないため、安全に利用できると考えられています。

ただ、まだ使用経験が浅いという点では今後もよく注視することが大切です。もちろんエクソソームだけに限ったことではありませんが、薬剤がどのようにして作られたものか、安全性は確認されているか?など確認して、信頼できる製品、信頼できるクリニックを選ぶことをおすすめします。

今後の美容医療と化粧品開発はエクソソームに要注目!

今回はエクソソームと美容に関して、基本から実用まで幅広くご紹介しました。

エクソソームは皮膚の若返りや再生において重要な役割を果たしていることが分かっています。今すでに実用化されているヒト幹細胞培養液でも、エクソソームの恩恵を受けることは十分に可能です。

また、今後研究や製剤開発が進めば、従来の治療で満足のいく結果が得られなかった方でも、さらに効果を高められる可能性があると言ってよいでしょう。

私たちの体の中にあるエクソソームは、美容においても無限の可能性を秘めていると言っても過言ではありません。次世代の美容をエクソソームが変えてくれると期待したいですね。

ブログ記述者

松山 淳

ブログ記述者

グランプロクリニック銀座理事長 松山 淳

杏林大学医学部医学科卒業。慶應義塾大学医学部助手・医学部附属厚生女子学院(現:慶應義塾大学看護医療学部)講師、国立病院臨床研究部病理室長などを経て、米国抗老化医学研究所・クリニックにて研修。現在、日本人初の抗加齢スペシャリストとして、米国アテナクリニックインターナショナル抗老化部門部長、及び日本の複数の抗老化医療研究所、クリニックの顧問医を務める。

 

コロナ
対応について
≫CLICK